こんにちは。Webプランナーの木内です。
今回は、視覚と聴覚をテーマに、Glass Art、絵画に勤しむグラフィックデザイナー本江のエッセイを掲載します。
デザインに関する興味深い内容となっているので、ぜひ一読ください。
(この記事は、以前に掲載されていた記事を再編集したものです)
■目次
・ジャケットデザインの威力
・聴覚と視覚の相互作用〜人は視覚と聴覚に左右される〜
●ジャケットデザインの威力
今や音楽メディアの主流がCDやDVD、BDなどのコンパクトメディアとなり、さらには音楽ダウンロードへと、ひと昔前の事情とは大きく変わり「アルバムジャケット」の必要性も薄れてきたようだ。
書籍のカバーデザイン同様にその内容を一目で印象づける重要なデザインワークは、実用的な手法からアーティスティックなものまで、表現方法も様々である。
313×315mmというS4号サイズを僅かに下回るアナログのLP盤全盛の時代は、あらゆる表現手法で私たちを楽しませてきたのだ。
特にプログレッシブロック系のアルバムはストーリーやコンセプトを見事に表現した作品が多く見られた。
例えば“yes”の一連のアルバムをデザインしたイラストレーター:ロジャー・ディーンの仕事は特に秀逸で、彼の画風がyesの音楽にぴたりとマッチングしたこともさることながら、視覚と聴覚が同時進行したクリエイティブ・ワークには深い創作力を感じる。
●聴覚と視覚の相互作用〜人は視覚と聴覚に左右される〜
私たちの生活環境の中には様々な音が存在している。音の印象も環境によって様々に変化する。
さらに音によって何かを想起させる状況は正に相互作用がもたらしたものだ。
「視覚情報が音の印象に及ぼす影響」さらに「聴覚情報が景観の印象に及ぼす影響」についての研究結果は既に、都市デザインやアルバムジャケットデザインでも実証済である。
「スーパーマーケット」で人々の購買意欲を上げるためには、売場空間の印象を明るくするBGMをかけることが鉄則のようだ。
[爽やかな選曲=フレッシュ=鮮度が良い]という具合だ。いわゆる「共鳴現象」とよばれる視覚と聴覚の相互作用を利用するのである。
「共鳴現象」とは、音楽の持つ聴覚的印象が、同一の視覚的印象をもたらす現象のことである。
「明るい」イメージの音が景観の印象を「明るく」するような音の効果を指す。
相互作用の間に密接な関係があることは、九州芸術工科大学音響設計学科・岩宮教授により示されている。
テレビドラマと主題歌の関係は相乗効果まで得ることができるため、業界としては無くてはならない必須の音楽マーケティングである。
広告制作に於いても、ポスターやパンフレットなどがどの様な環境下に置かれるのかなどを考慮したオリエンテーションが必要なのかもしれない。