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デザイナーズTALK:おとぎ話「ももたろう」から考える「伝える」ための想いと手法


日本のおとぎ話「ももたろう」

お笑い芸人のピース・又吉直樹さんの小説「火花」が話題になっていて、夏休みの定番でもある読書感想文の季節でもあったので、お題探しのために佐久市立浅科図書館へ行ってきました。

図書館の絵本コーナーに入って目にとまったのが「ももたろう」です。日本のおとぎ話「ももたろう」は、多くの方が子どもの頃、読んだり聞いたりしたお話のひとつではないかと思います。

 

『むかしむかし、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
おばあさんはその桃を家に持ち帰り、おじいさんと一緒に食べようと切ってみると、中からかわいい男の子が出てきました。
ふたりはとても喜んで、ももたろうと名づけて育てることにしました。

すくすく育ったももたろうは、優しくて力持ち。ある日ももたろうは、鬼ヶ島の鬼たちの悪事を耳にし、鬼退治を決意します。
おじいさんもおばあさんも反対しましたが、ももたろうの決意が固いので、おばあさんは不思議な力を持つきびだんごを作って送り出しました。

ももたろうは鬼ヶ島に行く途中、イヌ、サル、キジに出会い、きびだんごを分けてあげて仲間になってもらいました。
きびだんごを食べて力が2倍にも3倍にもなったももたろうたちは、力を合わせてあっという間に鬼を退治することができました。

鬼たちはもう二度と悪いことをしないと約束し、たくさんの宝物をももたろうたちに渡しました。
ももたろうたちは宝物をどっさり持って、おじいさんとおばあさんが待っている村に帰りました。めでたし、めでたし。』

 

「ももたろう」の伝える力

子どもの頃からよく知っている「ももたろう」ですが、物語の成り立ちに諸説があり、生まれ方や仲間との出会い方や鬼との戦い方については、様々な解釈の「ももたろう」が発行されています。特に絵本は数多く、子どもたちそれぞれの年代に合わせた表現方法で、「ももたろう」からの教訓を楽しい絵とともに伝えています。

また、昔から語り継がれたおとぎ話は、伝えたいことが時代とともに変化していて、その時代背景を読み取ることもできます。違った視点から読み比べるのもおもしろいかもしれません。最近発行されたものは、「がんばればなんでもできる」「仲間とのつながりの大切さ」「親孝行しよう」などのメッセージが多いようです。

絵本のみならず、一般書籍の中にも「ももたろう」を題材にした小説があり、芥川龍之介の「桃太郎」は異彩を放っていて、さすが芥川という感じです。

おとぎ話は語り継がれた物語で、多くが短い文章で構成されています。この短い文章で、伝えたいメッセージをストレートに伝えることができるおとぎ話の「伝える力」に感服です。

 

「伝える」仕事

私たちCOXの仕事は、お客さまの思いを「伝える」ことです。お客さまが、伝えたい人に、よりよい手段や方法で伝えることができるよう、共に考え、形にするパートナーでありたいと思っています。

今回、久しぶりに「ももたろう」をたくさん読んで思ったことがあるのです。
お客さまを「ももたろう」とさせていただくならば、共に戦った「イヌ」「サル」「キジ」は私たちだと……。

現実的な日常生活を分析する「イヌ」、たくさんのツールや知識をもった「サル」、いろいろな角度から見渡し、着地点を見定める「キジ」が、「ももたろう」をサポートできたら鬼ヶ島の宝物がきっと手に入るでしょう。

「ももたろう」の笑顔が見たいから、我が社の「イヌ」「サル」「キジ」は毎日奮闘しています。どこかにきびだんごを作ってくれるおばあさんいないかなぁ……という安易な考えはしませんよ。

 

美しい日本語で「伝える」

私の仕事は、文字と関わる物件がとても多いです。
お客さまからお預かりした大切な原稿を、できる限り美しい日本語にこだわって、形にしたいと思っています。
美しい日本語で「伝える」ことは、大変むずかしく日々勉強ですが、絶対的な私の理念として継続していきたいです。
この勉強に終わりはなさそうですが、今までの積み重ねの中で学んだ、美しい日本語で伝えたい時、こだわりたい時のちょっとしたテクニックをこれから紹介していきたいと思います。

次回のテーマは『漢字は30%以内』です。

 

桃

青空文庫 芥川龍之介「桃太郎」http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/100_15253.html

 

クリエイティブ室 木内良居